不安

アイデンティティがないって、なんてぐらぐらしてふわふわして不安なことなんだろう。足もとにも手の中にも目の前にも何もない。どこへでも行けるのに、その主体である私は何も持ってない。言い訳はできないし、誰のせいにもできない。今ここでこうしていることの意味づけができるのは私だけだし、価値を語ることができるのも私だけ。正しい道を探すのも、それを正しいと判断するのも、私だけ。既存の価値や他人の判断基準を参照することはできない。これが正しいよ、こうしておけば確実だよ、そういってくれる人は誰もいない。縛るものがなくなったかわりに、縛っていたロープに頼ることもできなくなった。「自分のため」って何て大変なことなんだろう。「他人のため」は美しいように見えて本当はすごくラクなのかもしれない。存在意義を支えるものも、大義名分もあるから。
私は自分が人より優れていることを確認しながらじゃなきゃ歩いていけない。なんてなんて、下劣な人間なんだろう。劣等感を感じる前に逃げてしまう。立ち向かっていく強さが欲しい。飛び込んでいく勇気が欲しい。それを見守っていてくれる温かい目が欲しい。
自分が世界に受け入れられていることを確認できないから、こんなに不安なんだ。組織にいることは、世界に受け入れられていることを確認するための、肩書きがあることは、世界のどの部分に位置しているかを確認するための、一番簡単な手段。どちらも持っていない私は、一人薄い膜に隔てられているような気分になる。それぞれに括られたコミュニティに安住している人たちを外から眺めているような。
人間は所詮一人。自分の人生を背負うことができるのは、自分しかいない。自分の選択をいくら人のせいにしたって、誰も背負ってなんかくれない。どんなに心配してくれたって、励ましてくれたって、誰も代わってなんかくれない。最後に人生に責任取るのは、自分しかいないんだから。
がんばれ!!