敬語について

相手を大切にする気持ちがあれば自然と敬語が使えるなんて、真っ赤な嘘もいいとこだ。敬語の「敬」の字は、角に触れて、人がはっと驚いてからだを引き締めること、つまり、ハッとかしこまって身体を引き締めることを意味する。敬語はもともと相手に自分の私的な部分・本質的な部分を見せないために作られたもの。だから敬語にはその人の個性が現れない。人間性が見えない。だから、人を遠ざけることができる。だから、安全。敬語は身を硬くして自分を守る言葉だ。だから、親愛の情とは絶対に融和しない。親愛の情がわいたら、分かりあいたいと思う。自分らしい言葉を遣うのは当然だ。誰よりも相手を大切にし合っている恋人同士が敬語を使うはずはない。敬語を使われたら嬉しいなんて、実感として思っている人はきっと少ない。堅苦しい言葉じゃなくて、その人の人間性が表れた言葉で近い距離で話したい。その気持ちをもっているから、若者は彼らなりの敬意の表れとして、敬語を使わないんだと思う。私は、この考えを曲げる気はない。