模倣する身体

マクベス」を観に行ってきた。ロンドンの劇団で、キャストがたった6人しかいない。一方マクベスの登場人物は30人を超える。二人の人物をひとりに統合したり場面を削ったりはしていたけれど、同じ人がほんとうにたくさんの役になってかわるがわる登場していた。しばらくの間、同じ人だということに気づかなかった。もちろん顔を隠したり髪型を変えたりしてはいるんだけど、声色も身体の使い方も違っていた。
同じ人がマクベス婦人とマクダフの息子をやっていたんだけど、ふるまいが完全に違う。子どもを演じるとき、子どもらしい声で、子どもらしい身体の動きをしていた。もちろんそれは当たり前なんだけど、そのときの「子どもらしさ」は何の模倣なんだろう。子どもの模倣ではなくて、「あるべき子ども像」の模倣なんじゃないか。「子どもらしい」と大人の観客が感じられるような、作られ誇張された「子どもらしさ」なんじゃないか。と思って、演じる身体に違和感を感じた。
まあよく言われてる話だけど。